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【丹波大納言小豆の育て方】播種から収穫までの記録(森山農園)

優哉 森山

兵庫県丹波地域は、大納言小豆の名産地として知られています。
昼夜の寒暖差と肥沃な土壌、そして秋の澄んだ空気が、風味豊かで大粒の小豆を育ててくれます。

ここでは、私が丹波で実践している大納言小豆の栽培の流れを、
できるだけわかりやすくご紹介します。
これから初めて育てる方に、少しでも参考になれば幸いです。


1. 土づくり(6月下旬〜7月上旬)

小豆栽培で何より大切なのは「最初の土づくり」です。
栄養バランスのとれたふかふかの土は、その後の生育を大きく左右します。

  • 苦土石灰:100kg/10a
  • アヅミン:40kg/10a(牛糞堆肥を使用する場合は不要)

これらを施用して耕うんします。
苦土石灰は酸性土壌を中和し、アヅミンはミネラル分と保水性を高めてくれます。


2. 元肥と播種(7月中旬〜下旬)

7月中旬には**小豆化成肥料(または市販の化成肥料)**を元肥として施用し、もう一度耕うん。
コストを抑えたい方は、ホームセンターの汎用化成肥料でも十分対応できます。

7月下旬、畝を立てて1か所に2粒ずつ播種します。
初期の雑草を抑えるためには、播種後すぐにトレファノサイド乳剤などの土壌処理剤を前面散布するのがおすすめです。

無農薬で栽培したい方へ:太陽熱消毒

除草剤を使わない場合は「太陽熱消毒」が効果的です。
畝を作ったあと、畑をたっぷり灌水し透明マルチで覆い、
2〜3週間ほど夏の高温で加熱殺菌します。
これで雑草の種子や病原菌を減らすことができます。


3. 生育初期の管理(8月上旬〜中旬)

播種後1週間ほどで発芽します。
欠株が見られた場合は、あらかじめ育てておいた苗を補植するか、追い播きを行いましょう。

必要に応じて、**ホスプラス(500倍希釈)**を播種後2週間後・3週間後に葉面散布します。
私はコストを抑えるため使用していませんが、

🧪 ホスプラスとは?
リン酸系活力剤で、根の活性化・耐病性向上・開花促進に効果があります。
小豆の初期成長を助ける補助資材です。

8月中旬には中耕培土を行います。
本葉5枚の頃に、本葉1枚目の節が隠れる程度まで土を寄せて、
倒伏防止と根張りの強化を図ります。


4. 開花期の管理(8月下旬〜9月中旬)

8月下旬、開花前に**フェニックス顆粒水和剤(2000倍・ヨトウムシ対策)を散布します。
必要に応じて
ハイケルプエキス(500倍)**を混用してもOKです。

🌊 ハイケルプとは?
海藻エキスを原料とした植物活性剤で、ストレス軽減や花つき促進に効果があります。
天候不順時や弱った株の回復に役立ちます。

私はこのハイケルプは使用せず、最低限の薬剤散布にとどめています。

9月上旬には**追肥(NK化成2号 20kg/10a)**を施用。
コストを抑える場合は、窒素・カリ系の市販肥料でも問題ありません。

9月中旬には**アディオン乳剤(2000倍・アブラムシ、アズキノメイガ対策)を、
9月下旬には再び
フェニックス顆粒水和剤(2000倍・ヨトウムシ対策)**を散布します。

私は防除は8月下旬の1回のみに抑えています。
多少虫にやられて収量は落ちますが、農薬は必要最小限が理想だと考えています。


5. 収穫と乾燥(11月上旬〜中旬)

11月上旬〜中旬、株の7〜8割が黄色または茶色に変わった頃が収穫適期です。
株ごと収穫し、ハウス内で1〜2週間かけて乾燥します。

ハウスがない場合

畑での自然乾燥も可能です。
株を束ねて根を上にして立て掛け、雨の当たらない場所で風通し良く干します。
直接地面に置くとカビや発芽の原因になるので、竹や木枠の上に置くのがおすすめです。


6. 脱粒・選別

十分に乾燥したら脱粒し、選別作業に移ります。
森山農園ではこの選別作業をすべて手作業で行っています。

虫食い・シワ・小粒などを丁寧に取り除き、
「大粒で形がきれいなもの」だけを丹波大納言小豆として販売しています。

時間はかかりますが、このひと手間が“味と見た目”の違いを生みます。


おわりに

大納言小豆の栽培は、決して簡単ではありません。
天候や病害虫に左右されやすく、手間もかかります。
それでも、収穫したときの艶やかな赤色と香ばしい香りは、
何ものにも代えがたい喜びがあります。

「ていねいに、まっすぐに育てる」――
その積み重ねが、丹波の味をつくっていきます。

ABOUT ME
小さな畑からはじまった、わたしの農業
小さな畑からはじまった、わたしの農業
森山農園
丹波の自然に魅かれ、5畝の小さな畑から始めた農園も、今では1町2反の田畑に広がりました。 お米や丹波黒大豆、大納言小豆を中心に、自然と向き合いながら、心を込めて育てています。 農薬はできるだけ使わず、納豆菌や酵母菌を自家培養して土づくり。 微生物の力で作物がのびのびと育つ環境を整えています。 丹波の澄んだ水、豊かな土、そして人の手のぬくもり。 そのひとつひとつが合わさって、やさしい味わいの農作物になります。 食べた人が“おいしい”と笑顔になれるように。 自然と人とのつながりを感じられる農業を、これからも大切に続けていきます。 農園長 森山優哉

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